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心臓リハビリテーション指導士とは|受験資格や試験の流れを徹底解説【準備は2年前から必要です】

質問者

心臓リハビリテーション指導士ってどんな資格なんだろう。今後の需要はあるのかな。受験内容についても詳しく知りたいな。

このような疑問に答えます。

こんにちは。

臨床検査技師のカエルです。

心臓リハビリテーション(心リハ)とは、心不全や心筋梗塞などの循環器疾患の患者に対して運動療法や食事、服薬の指導などを行い、再発予防や死亡率低減といった予後の改善を行う医療です。

その中で、心リハに関する専門知識をもち医療に貢献するスペシャリストを証明する資格として『心臓リハビリテーション指導士(心リハ指導士)』があります。

心リハ指導士は、近年チーム医療が発達する中で今後重要な役割を担う医療として注目されている資格の1つとされています。

この記事では、心リハ指導士の概要から受験の内容、おすすめテキストまで詳しく解説しています。

今年受験しようと思っている人」「とりあえず資格の概要を簡単に知りたい人」という方におすすめな内容となっています。

それでは、どうぞ。

心臓リハビリテーション指導士とは

はじめに、心臓リハビリテーション指導士の概要の前に、まずは現在の日本の現状について見ていきましょう。

厚生労働省が提示している日本の死亡原因の1〜3位までは以下のとおりです。

1位:悪性新生物
2位:心疾患
3位:老衰

参照:厚生労働省|日本における死亡原因(令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況

その中で心疾患は第2位であり、その原因は肥満、高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの生活習慣病患者がありますが、高齢化も大きな要因です。

2054年には超々高齢化社会を迎え、国民4人のうち1人が75歳以上の高齢者となり、今後心疾患による死亡者数も増加すると言われているのが今後の日本の未来です。

こうした経緯より、心リハの活躍する場が大きく広がっていくと言えるでしょう。

心臓リハビリテーション指導士の概要と傾向

心臓リハビリテーション指導士は、特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会により2000年に発足された認定資格です。

現在の認定者は(2023年2月20日時点)で、7,022名。

資格取得後は、5年ごとの更新が必要となります。

過去10回の合格率は以下のとおりです。

  • 第23回:78.7% 
  • 第22回・第21回:75.5% 
  • 第20回:73.5% 
  • 第19回:60.7%
  • 第18回:66.8%
  • 第17回:64.2%
  • 第16回:70.7%
  • 第15回:71.7%
  • 第14回:73.4%
  • 第13回:77.5%

参照:日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士制度|認定試験合格者と講評

合格率は70%前後、比較的取得しやすい資格です。

職種別に受験者をランキングすると

1位:理学療法士
2位:医師
3位:看護師

ちなみに上記の職種別合格率はこちら。

医師:95〜100%
理学療法士:70〜80%
看護師:40〜50%

このように職種によって合格率に差があるのは、心リハにおける知識量が違うことが挙げられます。

試験は、運動生理学に関する基礎知識や解剖、病態、運動や食事の知識はもちろん、検査や薬剤について幅広く問われます。

医師は全体的に知識を持っているのに対し、理学療法士や看護師は知識が専門領域に限定されていること、看護師においては受験者数が少ないこともあり合格率が低くなっていることが想定されます。

筆者の職種である臨床検査技師は毎年10人程度とまだまだ受験者が少ないようです。

どんな人におすすめな資格

資格取得におすすめな人はこちら。

資格取得におすすめな人

  • 循環器病院で勤務している医療従事者
  • 循環器疾患の患者と接する医療従事者

では次に、資格の概要がわかったところで、あなたが受験資格に該当するのか確認していきましょう。

受験資格 

  1. 日本心臓リハビリテーション学会主催の講習会を当該年度に受講していること
  2. 医師、看護師、理学療法士、臨床検査技師、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技師、臨床心理士、公認心理師、作業療法士、あるいは健康運動指導士のいずれかの資格を有していること
  3. 申請時に本学会会員であり、申請時の直近2年以上継続して会員歴があること。
  4. 心臓リハビリ指導の実地経験が1年以上あること、または心臓リハビリ研修制度により受験資格認定証の交付を受けていること。

出典:日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士制度|制度規則

講習会の受講とは?

こちらの講習会受講とは、受験申請後に行う講習会のことです。

受験資格を満たすためには、1部2部の講習会受講が必要となります。

講習会参加はどちらもオンライン開催なので、遠方の方でも手軽に参加することができます。

試験の出題ポイントやアドバイスについても話があるため、聞き逃さずメモをとりながら聴講するといいでしょう。

受験資格を満たせるのは最低2年前から準備が必要!

受験資格を得るためには、日本心臓リハビリテーション学会に2年以上継続して所属していなければいけません。

今年受験しようかな」と思ってもすぐ受験できるものではなく、最低でも2年前から準備が必要です。

質問者

学会の年会費ってどれくらいなんだろう?

このような疑問を持った方はこちら。

正会員(紙媒体の学会誌送付を希望しない場合)
医師13,000円(11,000円)
一般(医師以外)8,000円(6,000円)
参照:日本心臓リハビリテーション学会|入会案内

受験の流れ

次は、受験する場合の流れについてです。

  • 4月 受験申請・書類提出


  • 6月 
    選考書類結果 合格発表


    講習会受講(1部・2部)


  • 7月 筆記試験

  • 8月 合格発表
    (学会 HP および通知)

  • 9月 認定証発送

\第24回心リハ指導士の日程/

出願期間】2023年4月11日(火)~4月26日(水)必着
募集人数】800 名
筆記試験】2023年7月17日(月・祝)13:00~14:00(予定)

受験にかかる費用

合計 25,000円

受験費用の内訳

講習会参加費用:10,000円(1部:6,000 円、2部:4,000 円)

審査料:15,000 円

心臓リハビリテーション指導士の試験内容

次は、試験の内容について見ていきましょう。

心リハ指導士は、自験例の提出筆記試験の2つの試験があります。

それぞれ詳しく解説していきます。

自験例の提出

まずは自験例についてです。

申請書類は、日本心臓リハビリテーション学会HPからダウンロードすることができます。

提出症例数は、10 症例

症例集めは、受験を志してから少しずつ準備を進めておくと効率的です。

もし症例がダメになった時のために、多種の症例を多めに準備しておくことも重要です。

自験例の書き方は、学会HP上にも載っていますし、身近に合格者がいれば実際見せてもらうなどして進めていきましょう。

記載内容は以下の5つ。

  • 心臓リハビリテーションプログラムの実施内容
  • 運動療法
  • 症例の内訳 
  • 注意点 

書類に不備があると受験できなくなる可能性があるため、誤字、脱字、変換ミスなどしっかり確認してから郵送しましょう。

筆記試験

次は、筆記試験についてです。

試験の詳細は以下のとおりです。

問題形式マークシート方式
回答方式5つの選択肢から該当する1つまたは2つを選ぶもの
試験時間60分
問題数50問

ここで重要なのは、「60分で50問」解くということ。

単純に計算すると1問を1分程度で解くことになります。

わからない問題の確認や解答用紙を確認する時間を加えると、1問にかけられる時間は30秒程度

よくある例として「最初ゆっくり解きすぎて最後時間が足りなかった」または「マークシートを確認する時間が取れなかった」ということがあります。

1問における配点が大きく影響するため、確実に合格を目指すためにも時間配分を事前に決めて挑むことが大切です。

勉強方法

さいごに、「テキストは何を選んだらいいのかな?」という方に向けておすすめの参考書を紹介します。

以下で紹介している参考書は、心リハ指導士を受験する人のほとんどが持っている参考書です。

ぜひ参考にしてみてください。

【指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携 増補改訂版】 

出典:日本心臓リハビリテーション学会|学会誌・刊行物

心リハ指導士を主催している日本心臓リハビリテーション学会が出版しているテキスト。試験範囲が網羅されているため、当資格を受験するなら必ずおさえておきたい1冊。こちらは楽天やamazonなどでは販売されていないため、購入する場合は、学会HPから購入する必要があります。

【わかる!できる!心臓リハビリテーションQ&A】

日本心臓リハビリテーション学会の学会員が監修しているテキスト。Q&A形式で情報が整理され、要領よく知識を定着させることができます。内容も基礎知識から臨床の応用・実践までを幅広く網羅されており、前に紹介した参考書と合わせて勉強するのにおすすめな1冊です。

以上、心臓リハビリテーション指導士について解説してきました。

医療従事者である以上は、同職種と差をつけるためには各専門分野に特化することが求められます。

その中で、心リハは今後の医療において大きな役割を担う分野であり、その専門資格である心臓リハビリテーション指導士は今後注目される資格と言えます。

自身のスキルアップ」や「今後の転職活動を有利にする」にも、心臓リハビリテーション指導士の資格を取得してみませんか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

おわり

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