糖尿病療養指導士ってどんな資格なのかな。試験について詳しく知りたいな。
こんな疑問に答えます。
こんにちは。臨床検査技師のカエルです。
糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator:CDE)とは糖尿病治療にもっとも大切な自己管理を患者に指導する医療スタッフです。
糖尿病療養指導士には、
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
地域糖尿病療養指導士(CDEL)
の2つがあります。
日本糖尿病療養指導士は看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士の5職種のみ取得でき、全国一律の認定資格です。
地域糖尿病療養指導士はCDEJ以外の医療スタッフも受験することができ各都道府県や各地区といった地域の認定組織によって独自に認定している資格です。
本記事では、日本糖尿病療養指導士について解説してきます。
それでは、どうぞ。
日本糖尿病療法指導士とは
日本糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator Japan: CDEJ)は一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構が主催で行っている認定資格です。
日本糖尿病指導認定機構に掲載されている2022年6月21日時点における全国の有資格者は18,951名です。
職種別にするとこちら。
看護師・准看護師 | 8,252人 |
管理栄養士・栄養士 | 4,892人 |
薬剤師 | 2,873人 |
臨床検査技師 | 1,301人 |
理学療法士 | 1,273人 |
職種別に見るとやはり患者との接触機会が多い看護師・栄養士が7割を占めており、臨床検査技師はまだまだ少ないことわかります。
臨床検査技師は臨床検査の専門家であり、これからの臨床検査技師は検査室から出て直接患者と接するようになるため今後需要の高い資格といえます。
受験資格
受験資格は以下の4項目で、すべて満たすことで受験することができます。
詳細は日本糖尿病療養指導士認定機構でご確認ください。
- 看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士のいずれかの資格を有している
- 条件を満たす医療施設(※1)において過去10年以内に継続2年以上(通算1,000時間以上)直接糖尿病患者に接して療養指導した実績がある(※2※3)
- 2の期間に自分が携わった糖尿病療養の自験例が10例以上ある
- 日本糖尿病療養指導士認定機構が開催する講習(eラーニング)を受講し、受験修了証を取得していること
※1
条件を満たす医療施設とは、糖尿病患者の「外来診療」「教育、食事指導」が行われ、「日本糖尿病学会専門医もしくは常勤の日本糖尿病学会会員医師が、糖尿病療養指導にあたり受験者を指導している施設のこと
※2
糖尿病の病棟に勤務しているだけでは受験資格を満たすことができず、直接糖尿病患者に接して療養指導をした時間となります。
※3
異動や転勤により1日でも空白の期間がある場合は受験資格を満たすことができません。2年以上継続して業務に従事していることが必要です。
資格取得までにかかる費用
受講料 | 33,000円 |
受験料 | 22,000円 |
受験資格審査料 | 5,500円 |
合計 | 60,500円 |
その他、遠方の方は試験時の旅費や試験勉強するための参考書等の費用が追加でかかります。
受験の流れ
補足
✓ 受験者用講習会受講申し込み
日本糖尿病療養指導士認定機構から申し込みすることができます。
期間は例年7月1日〜10月31日までです。
✓ 受験者用講習会受講
日本糖尿病療養指導士認定機構のe-ラーニング講習会で各講義10〜15分単位の動画を約7時間程度視聴し、アンケートに回答することで受講修了証がもらえます。
視聴する期間は2022年度の場合10月1日〜11月25日頃まで。視聴する時間は受験者の生活習慣に合わせて視聴することができます。
会場開催の場合は約2日に渡って計8時間の受講となりますが、ここ数年はコロナ禍のため中止となっていますのでご注意ください。
認定試験の内容
試験内容は、
- 糖尿病療養指導自験例の記録
- 筆記試験
の2つがあります。
ではそれぞれ見ていきましょう。
糖尿病療養指導自験例の記録
自験例は糖尿病療養指導士認定機構が指定されたフォーマットに沿って10症例提出します。
記載内容は、
- 指導した患者の療養指導開始時の状態
- 身体所見
- 医師の治療方針(食事、運動、薬物療法)
- 療養指導
をそれぞれ書きます。
❹ 療養指導においては、
- 療養指導上の問題点
- 主治医やチームの他職種との連携
- 問題点の対応
- 指導による患者の変化
の4項目について記載します。
症例を選ぶ際は、内容が似たような症例や指導方法ではなく、それぞれ違う症例や指導方法を10症例書くことがポイントです。
事前に多くの症例を準備しておくと安心だね!
筆記試験
では、次に筆記試験についてです。
2022年の場合は以下の日程で行われています。
試験日 | 2023年3月17日(金)〜4月10日(月)の任意の1日 |
試験会場 | 全国のCBT対応施設(47都道府県に試験会場あり) |
試験方法 | CBT方式(※) ※CBT方式とは、Computer Based Testingの略。問題用紙やマークシートなどの紙を使わず、コンピュータで受験する方式のテストです。 |
試験時間 | 180分(前半90分+休憩15分+後半90分) |
問題数 | 120問 |
出題範囲 | 糖尿病療養指導士の役割・機能、糖尿病の診断基準、・成因分類・病態分類、治療、合併症、療養指導各論(検査、食事療法、運動療法、薬物療法)、糖尿病患者の心理と行動、教育、療養指導の評価 |
試験の合格率
試験は、「糖尿病療養指導自験例の記録」と「筆記試験」の両者が合格基準を満たすことで合格となります。
2021年度の場合は最低合格水準は69.7%であり、過去5年間における合格率は90%前後となっています。
比較的合格率が高い資格ではありますが、5月から始まり、講習会視聴・自験例の症例提出、筆記試験と1年がかりの試験であるため資格を取得するのに忍耐力が必要です。
筆記試験の勉強方法
筆記試験対策に向けて勉強する場合は、以下の参考書および問題集がオススメです。ぜひ参考にしてみてください。
✓ 【参考書】糖尿病療養指導ガイドブック
日本糖尿病療養指導士機構から出版されている参考書です。試験はこの本に沿って出題されているので必ず準備しておきましょう。
当参考書は毎年改定されており、ガイドラインの変更や追加項目などもあるため新しい年度のものを購入しましょう。
✓ 【問題集】糖尿病療養指導のための力試し300選
参考書だけでも良いですが、効率よく勉強するなら問題集も合わせて購入することをおすすめします。
問題集を解くだけで自分の苦手なところも明確になり、実際の試験対策としても有用です。
当問題集は第10版と頻回に改定されており、近年の出題問題を載せているのに加え、表や図を使ってわかりやすく解説されているためおすすめの問題集です。
資格更新の要項
受験を考えている方は、更新時のこともしっかり押さえておきたいですね。
日本糖尿病療養指導士は糖尿病に関する幅広い知識を維持するため更新期間は5年毎となっています。
その際に以下の条件があるので確認しておきましょう。
更新時の要項
✓ 更新条件
- 糖尿病療養に従事していること(※4)
- 更新用の講習会を受講していること
- 認定更新のための研修単位を取得していること
- 自験例を10例以上提出していること
※4
受験資格と内容とは異なり、日本糖尿病学会会員医師のいない施設での勤務でも可能となります。
✓ 更新料
11,000円(税込み)
認定試験は受験資格を満たしていれば合格率は高いので資格取得は比較的容易ですが、更新条件も厳しいので資格を維持するのも結構難しい要素です。
以上、超尿病療養指導士について解説していきました。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると糖尿病が強く疑われる成人患者の数は2016時点で推計1,000万人を超えたという調査結果が出ており、それ以降も人数は日々伸び続けているのが日本の現状です。
日々進歩している医療に対して適切に患者に指導するには最先端の情報が必要であり、それだけ今後需要の高い資格となるでしょう。
おわり