認定臨床微生物技師ってどんな資格なんだろう?資格取得までの流れが知りたいな。
こんな疑問に答えます。
こんにちは。
臨床検査技師のカエルです。
微生物検査室で勤務しているまたは院内の感染対策に携わっている臨床検査技師ならよく耳にする資格だと思います。
資格の詳細を知りたいと思うけど「公式HPを見てもいまいち内容がわからない」「欲しい情報がまとまっていないな」と感じる人も多いはず。
この記事では認定臨床微生物検査技師になるための必要な情報を詳しく解説しています。
「上司から言われてとりあえず内容を把握したい人」や「これから資格取得しようと考えている人」におすすめな記事となっています。
それでは、どうぞ。
認定臨床微生物検査技師とは
認定臨床微生物検査技師とは、感染症・臨床微生物の検査に関する専門知識をもち、院内感染の制御に取り組む臨床検査技師であることを証明する認定資格制度です。
認定臨床微生物検査技師は、Certified Medical Technologist in Clinical Microbiology(CMTCM)とも言います。
当資格は、
- 日本臨床微生物学会
- 日本臨床衛生技師会
- 日本臨床検査医学会
- 日本臨床検査同学院
- 日本感染症学会
- 日本環境感染学会
- 日本化学療法学会
上記の7団体の審査により付与される認定資格です。
現在2022年1月1日時点での有資格者は959人います。
病院では現在流行している新型コロナウイルス感染症をはじめ多種のの感染症や、近年の薬剤耐性菌の増加によって感染対策の重要度は日に日に増してきています。
専門性の高いチーム医療を提供する中で当資格は臨床検査技師の活躍の幅を広げ、今後のキャリアアップや転職時において有益な資格となります。
こんな人におすすめ!
・微生物検査室で勤務している人
・感染対策に携わっている人
・ICMTを取得したい人
では、実際に受験するためにはどんな受験資格が必要か見ていきましょう。
受験資格
CMTCMの受験資格
- 臨床検査技師の国家資格を有する者
- 臨床微生物検査・感染症検査に関する基本的な技術を持っている
- 認定研修施設で5年以上の勤務経験がある(指定講習会でも可)
- 論文発表が1編以上、学会発表が3回以上ある
受験資格の内容を見ると条件は厳しく、「資格取ろうかな」と思ってすぐ受験できるようなものではありません。
受験資格を満たすまでに最低でも3〜5年かかる難易度の高い資格です。
質の高い医療を実現するために専門性に特化した高い能力が求められ、厳しい内容となっていることが伺えます。
受験資格の内容についてさらに詳しく見ていきましょう 。
認定研修施設で5年以上の勤務経験がある(指定講習会でも可)
認定臨床微生物検査技師の指定施設は、全国で144施設あります。
指定施設の詳細はこちら。
全国で144施設しかないので「認定研修施設で5年以上の勤務経験の受験資格を満たせる受験者」はかなり限定的です。
そのため認定施設施設ではなくても指定講習会を受講すれば受験可能となっています。
指定講習会は受験申請を提出したあと次の章に示す期間までに受講すれば良いため、事前準備は必要ありません。
なのでこの項目は比較的クリアしやすい内容となっています。
学会発表が3回以上、論文発表が1編以上
受験資格でいちばんの難関はコレ!
✔ 学会発表
学会発表の条件は、
- 異なる演題
- 異なる内容
- 2回以上は臨床微生物学の題材である
と指定されています。
学会発表ならなんでもいいの?
学会発表は指定されたもののみ有効です。
基本条件は以下の4つです。
- 会則があること
- 定期的に開催されていること
- 学会・研究会であること
- 抄録集があること
主な学会は以下通りです。
引用元:認定臨床微生物検査技師制度 受験・更新に関する細則
- 協議会加盟団体主催
日本臨床微生物学会総会・学術集会、日本臨床検査医学会学術集会および支部総会/例会、日本医学検査学会および各地区/支部/各都道府県学会、日本感染症学会学術講演会および地方会、日本化学療法学会総会および支部総会、日本環境感染学会総会・学術集会- その他の団体主催
日本細菌学会および支部総会、日本結核病学会総会および支部総会、日本医真菌学会総会・学術集会、日本ウイルス学会学術集会、日本臨床ウイルス学会、日本寄生虫学会大会、日本臨床寄生虫学会大会、日本防菌防黴学会年次大会、日本マイコプラズマ学会、日本嫌気性菌感染症学会、日本臨床検査自動化学会大会、臨床微生物迅速診断研究会、緑膿菌感染症研究会学術集会、薬剤耐性菌研究会、ブドウ球菌研究会、レンサ球菌研究会
✔ 論文
論文って何書いたらいいの?
論文の内容は、学会発表3回のうち1つを論文として提出するのが大半です。
なので学会発表3回の内、論文も書けそうな内容を1つ発表するとスムーズです。
論文の条件は、
- ISSN(国際標準逐次刊行物番号)に登録されていること
- 投稿規程があること
- 編集委員会があること
- 定期的に発行されていること
主な学術雑誌は以下の通りです。
引用元:認定臨床微生物検査技師制度 受験・更新に関する細則
- 協議会加盟団体主催
日本臨床微生物学雑誌、臨床病理、医学検査および各都道府県臨床衛生検査技師会誌、感染症学雑誌、日本化学療法学会雑誌、日本環境感染学会誌、通信- その他の団体主催
日本細菌学雑誌、日本結核病学雑誌、日本医真菌学会雑誌、日本ウイルス学雑誌、日本臨床ウイルス学雑誌、日本寄生虫学雑誌、日本臨床検査自動化学会雑誌、日本嫌気性菌感染症学会雑誌、 緑膿菌感染症研究会講演記録、JARMAM、Medical Technology、臨床検査、検査と技術、臨床と微生物
以上、学会発表と論文の内容について解説しましたがいかがだったでしょうか?
臨床微生物検査・感染症検査室で勤務している人は知識が豊富なためまだ題材が立てやすいかもしれませんが、微生物検査室で勤務していない人にとってはかなり難易度の高い条件です。
受験者が後者の場合、題材1つ考えるだけでも難易度が高く一人では到底できません。医師や職場の上司などの協力が必要不可欠なため、その環境が整うかによって受験できるかどうか検討する必要があります。
受験資格がわかったところで受験の流れについて見ていきましょう。
受験の流れ
試験は年1回開催されており、受験の流れは以下の通りです。
- 6月 申請 提出
- 申請受付期間 2022年6月1日〜2022年6月30日<消印有効>
- 申請受付期間 2022年6月1日〜2022年6月30日<消印有効>
- 8月中旬 資格審査結果通知
- 受験票送付
- 受験料納付
- 9月〜11月 指定講習会 受講
認定研修施設に5年以上勤務している受講資格者は任意 - 11月 試験
- 12月 合格発表
- 認定臨床微生物検査技師の認定証 交付
受験費用
計 55,000円
受験費用の内訳
申請料:15,000 円
受験料・指定講習会受講料:20,000円
登録料(合格者のみ):20,000円
※ 認定研修施設に勤務し、指定講習会の受講を希望しない人でも同様に20,000円の受講料が必要です。
合格率
合格率は70%。
受験者数が少ない中で合格率が高いのは、受験資格が厳しくなっていることもありそれなりのレベルの人が受験しているためと思われます。
試験
試験は、筆記試験と実技試験の2つあります。
筆記試験は最悪1人でも何とか出来ますが、実技試験はそうはいきません。
微生物検査室に勤務していない人は職場の上司に相談して他施設での研修も念頭におく必要があります。
では、試験の詳細は以下の通りです。
✔ 試験会場
全国7箇所 :札幌、福島、東京、名古屋、神戸、岡山、福岡
✔ 筆記試験
試験時間 | 90分 |
解答形式 | マークシート |
問題数 | 50問 |
試験範囲 | ①臨床微生物学(感染症学)に関する基礎知識・検査法 Ⅰ感染症学総論 Ⅱ検査室の管理および体制 Ⅲ病院感染防止対策における臨床微生物検査室の役割 Ⅳ臨床微生物学における検査診断技術 Ⅴ細菌学・クラミジア・リケッチア Ⅵ抗微生物薬と薬剤感受性検査法 Ⅶ真菌学 Ⅷウイルス学 Ⅸ寄生虫学 ②英文和訳 |
✔ 実技試験
試験時間 | 90分 |
試験範囲 | ①微生物検査の基本的かつ重要な技術試験 ②Gram染色および鏡検 ③分離培地の観察からの菌種推定 ④主要な病原微生物の同定(生化学的性状と免疫血清学的検査)および薬剤感受性検査および薬剤耐性の推定 |
実際に受験した方の体験談がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
更新方法
最後に更新ついてです。
受験するなら必ず更新の内容も見ておくのが鉄則ですね。
認定臨床微生物検査技師は5年毎に更新が必要です。
更新の手続きには研修単位と更新料10,000円が必要です。
研修単位については以下の通りです。
- 資格取得してから5年間で30単位以上あること
- 30単位のうち10単位は日本臨床微生物学会主催であること
よくある所属団体の継続所属や年会費納入はないようです。
以上、認定臨床微生物検査技師について解説してきました。
もし、今後ICMTの資格取得も検討している場合はこちらの記事もどうぞ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おわり