心電図検定1級を受験しようかな。1級の難易度ってどのくらいだろう。おすすめの参考書とかも教えてほしいな。
こんな疑問に答えます。
こんにちは。カエルです。
簡単に心電図検定のレベル分けをすると以下のとおりです。
- 4級:入門編
- 3級:基礎編
- 2級:中級編
- 1級:上級編
その中で、心電図検定1級は上級編で、かなり難易度は高いです。
試験の難易度を把握したうえで、適切な勉強方法と必要な勉強時間を確保できれば、十分に合格を狙うことが可能です。
この記事では、心電図検定1級の難易度から問題の傾向、合格率、勉強方法などについて解説しています。
「1級受験しようと思っている人」「1級の難易度が知りたい人」におすすめな内容となっています。
記事の信頼性
2019年に心電図検定を初めて受験し、1級一発合格。
当サイトでは、
- 心電図検定4級
- 心電図検定3級
- 心電図検定2級
の各階級ごとに記事を作成しています。
上記の記事をご覧になった方は、目次から必要な部分だけ見ることをおすすめします。
それでは、どうぞ。
心電図検定1級の難易度・合格率・合格点をチェック
心電図検定1級の受験を検討しているならば、まずは試験の難易度を理解しておくことが大切です。
ここでは心電図検定1級の試験の概要や合格率など試験のレベルについて確認しておきましょう。
心電図検定1級とは
日本不整脈心電学会が実施している検定試験では、難易度に応じて異なるレベルの試験が実施されています。
日本不整脈心電学会で心電図検定1級は、「心電図の高度な判読力を有するもの」とされています。
1級合格者の内、高得点者は「心電図の極めて高度で専門的な判読力を有するもの」とされ、マイスターと認定されます。
主な対象者は、循環器専門医、心電図に深く精通したメディカルプロフェッショナル。
試験は毎年1回開催されています。
併願はできません。
合格点は公表されていませんが、6割以上が合格と思われます。
心電図検定1級の受験に向いている人とは?
心電図検定1級を受験するなら以下のような人が該当します。
心電図検定1級におすすめな人
- 実務経験5年目以上
- 循環器専門施設で勤務している人
- 心電図検定2級に合格した人
心電図検定の資格は、履歴書に記載できるため、就職の際などに役立ちます。
心電図検定1級レベルなら総合内科でも循環器でもどの施設に就職・転職しても全く問題ないレベル。
時間に余裕のある学生の方などは、就職活動が始まる前に取得を目指してみるのも良いでしょう。
就職・転職時の履歴書作成で自己PR欄に自分の努力アピールができるので「何書いたらいいんだろう?」と悩むことも少なくなるでしょう。
心電図検定1級は最上級のレベルなので就活・転職で有利なるだけではなく、自分自身の自信にもつながります。
心電図検定2級の合格率は54%
心電図検定2級の合格率は54% 前後となっています。
過去の合格率は、以下のとおりです。
- 2016年度:53.4%
- 2017年度:55.3%
- 2018年度:57.2%
- 2019年度:51.2%
- 2020年度:中止
- 2021年度:54.5%
- 2022年度:54.5%
- 2023年度:54.7%
つまり、適切な勉強方法と必要な勉強時間を確保できれば、十分に合格を狙うことができると言えるでしょう。
他の階級との比較
心電図検定には1級・2級・3級・4級があります。
これらの合格率と3級を比較すると、以下のようになります。
階級 | 最高合格率 | 最低合格率 |
---|---|---|
1級 | 57.2% | 51.2% |
2級 | 69.1% | 63.6% |
3級 | 76.4% | 73.1% |
4級 | 84.0% | 79.5% |
各階級を比較すると、上位階級になるに連れて合格率は1割ずつ難易度が高くなっています。
各階級の難易度についてはこちらの記事をご覧ください。
心電図検定1級の試験内容と問題の傾向
では次に、心電図検定1級の試験内容について見ていきましょう。
ここでは、試験当日の試験情報や問題の傾向を解説していきます。
試験情報
まずは試験当日の試験情報について見ていきます。
出題形式 | マークシート方式 |
解答形式 | 5つの選択肢から該当する1つまたは2つを選ぶもの |
問題数 | 50問 |
試験時間 | 90分 |
問題数は50問、試験時間は90分です。
単純計算すると、
1問を解く時間は1分弱。
わからない問題を解く時間やマークシートを確認する時間を引くと、1問に費やす時間は1分もありません。
よくある例として「最初ゆっくり解きすぎて最後時間が足りなかった」または「マークシートを確認する時間が取れなかった」ということがあります。
心電図検定では問題数が少ないため、1問における配点が大きく影響します。
着実に合格を目指すためにも時間配分を事前に決めて挑むことが大切です。
問題の傾向
問題の難易度は、初級~中級3割、上級7割。
心電図検定1級ともなると基本的な波形はほとんど出題されません。
中級〜上級が8〜9割くらいと思っておいた方がいいです。
心電図検定1級では、自覚症状や治療など病態とのからみが多く、また選択肢も迷いやすいものが並び難易度が高くなっています。
心電図検定1級で押さえておきたい内容は以下の通りです。
✔ WPW症候群
- A型・B型・C型
- 副伝導路の位置(右室側・中隔・左室側)
✔ QT延長症候群(先天性)
- 遺伝子変異LQTS1型〜3型について
✔ 心筋梗塞
※5〜6問は出題されます。
- 各梗塞部位の責任冠動脈
- 下壁は右冠動脈遠位部なのか近位部なのか
- 左冠動脈主幹部の心筋梗塞
✔ PSVTの鑑別
- 心房頻拍
- 房室結節リエントリー頻拍(通常型・非通常型)
- 房室回帰頻拍(順方向・逆方向)
✔ wide QRS tachycardiaの鑑別
- 変更伝導を伴う上室性頻拍
- 脚ブロック既往の上室性頻拍
- WPW症候群既往の上室頻拍
- 多形成心室頻拍
- 偽性心室頻拍
✔ 電解質異常
※2〜3問出題されます。
- 高K血症
- 低K血症、低Mg血症、低Ca血症の鑑別
✔ ペースメーカー
- ペーシングリードの部位
✔ その他
- blocked PAC
- 不整脈原性右室心筋症
- 急性肺血栓塞栓症
- たこつぼ心筋症
- 川崎病
✔ 過去に出題された問題
- T波交互脈(T wave alternans:TWA)
- 心房中隔欠損
- ATP製剤の副作用
- アブレーション後の合併症
ココがポイント
波形が見たことがない場合でも問題文で解ける場合もあります。
例えば、
- 急な呼吸困難⇒ 急性肺血栓塞栓症
- トロポニンT陽性+心筋梗塞とは非典型的な波形 ⇒ たこつぼ心筋症
- 小児の発熱や発疹⇒川崎病 など
波形だけでなく問題文もしっかり読むように普段から心がけましょう。
心電図検定1級に合格するための勉強時間
心電図検定1級に必要な勉強時間は、平均60~250時間程度です。
かなり開きがあるのは、もともとの知識量や、勉強に対する慣れ・不慣れによって、必要な勉強時間に差が出るためです。
心電図検定2級合格した人やある程度の知識がある人では、少ない勉強時間で合格することができます。
反対に、心電図検定を初めて受験する人や心電図に苦手意識を持っている人は、勉強時間が長くなります。
上手に時間を活用して、合格を目指しましょう。
勉強のワンポイントアドバイス!
前章でも話したとおり、試験当日は1問を1分弱で解かなければいけません。
勉強中は、時間制限がないため1問1問ゆっくり解きがちです。
そのため普段の勉強から時間を意識して勉強することがポイントです。
系統的な読み方や波形のバリエーションを鍛え、瞬時に判読できるように日頃からの特訓が必要と言えます。
心電図検定1級におすすめの問題集と参考書
最後に、「心電図検定1級だとどんな参考書を選んだらいいんだろう」という方に向けておすすめの参考書を紹介します。
試験のテキストは「参考書:1冊」と「問題集:2冊以上」を準備しましょう。
参考書選びは、心電図検定2級レベルの参考書で十分です。
心電図検定1級に合格するには、参考書で勉強するよりも問題集でたくさんの波形を目にしてバリエーションを増やすことが大切です。
それでは、筆者がおすすめする問題集と参考書を見ていきましょう。
問題集
心電図検定1級の勉強におすすめの問題集7冊。
このなかで、最も自分に合っているのはどれか吟味して選んでいきましょう。
【心電図検定公式問題集&ガイド】
◆ 資格試験に対応した唯一の公式テキスト
心電図検定を開催している日本不整脈心電学会が出版している問題集。心電図検定を受験するなら必ずおさえておきたい1冊。過去に試験で出題された中から代表的な問題を厳選し掲載されており、試験の傾向や試験形式に慣れるためのマストアイテムです。
【心電図検定公式問題集&ガイド】良いレビュー
心電図検定を受けるなら必要
心電図検定を受けるなら必須だと思います。解説も付いています。ただし、あくまで問題集なので、心電図を基礎から勉強したい方は、別の本が必要だと思います。
Amazonカスタマーレビューより
【心電図検定公式問題集&ガイド】良くないレビュー
初心者には難しい
全くの初心者には難しい。4級が無いのが残念。しかし受検するなら必須。
Amazonカスタマーレビューより
中身が薄い
以前にも買ったが、改訂版ということもあり再度購入。 内容はほぼ変わらず。 もっと内容を濃くしないと役に立たないと感じた。 3級、4級には良いかも。
Amazonカスタマーレビューより
問題集は、実践に即した試験の模擬試験としての活用には有用ですが、「解説が少ない」や「初心者の場合は難易度が高い」とう口コミが多いようです。
【講義+試験対策模擬問題100問 心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座】
◆ 心電図1級合格・マイスターを目指す人に必須の問題集
心電図検定対策の唯一の公式問題集は1〜3級受験者向けと問題のレベルが幅広く、1級受験者にとっては物足りなかったのが欠点でした。その中で、2023年心電図検定1級合格に特化した問題集がついに出版!問題数は100問と豊富に掲載され、判読ポイントも詳しく解説されています。これから心電図1級を受験またはマイスターを目指す人には必要不可欠な1冊です。
【判読ER心電図: 実際の症例で鍛える1(基本編)】
【判読ER心電図: 実際の症例で鍛える2(応用編)】
◆ 心電図のバリエーションを学ぶにはコレ!
1つでも多くの波形を判読したいならこの問題集。200例の豊富な症例が問題形式で掲載されています。基礎編と応用編を合わせると400例を経験することができます。問題としては難易度が高いですが、判読力の速さを鍛えるのにおすすめです。
心研印 心電図判読ドリル 良いレビュー
臨床ですぐに役立つ実践的、心電図症例集
心電図が200例、ジャンル毎ではなくランダムに並んでいます。解説は、簡潔でありながら臨床に即したエッセンスが散りばめられており、臨床に即した内容が学べます。心電図の基本的な読み方を押さえた上での問題集として、とても良い内容だと思います。応用編も合わせておすすめします。これらをマスターすれば、循環器科医以外の医師の心電図判読レベルとしては十分だと思います。
Amazonカスタマーレビューより
【心研印 心電図判読ドリル】
【medicina(メディチーナ) 2022年 8月号 特集 不安を自信に変える心電図トレーニング~専門医のtipsを詰め込んだ50問】
◆ 時間に余裕があるときに追加でやりたい問題集
どちらも症例の解説がしっかり記載されており、1つ1つ理解しながら進めたいならこの問題集。どちらも50症例掲載。様々な心電図の所見やその先の診療方針などが収録されており、この1冊で循環器診療を深く学ぶことができます。
【心研印 心電図判読ドリル】良いレビュー
とにかく解説が、一つ一つ丁寧でわかりやすい。 また、心電図だけではなく、エコー、レントゲン、カテーテルの画像もあり、関連付けながら、理解を 深めることができます。 検定まで追い込み時期となりましたが、 問題を解きながら、知識を確実なものにしていきたいと思います。
Yahoo!ショッピングレビューより
では次に、問題集とあわせて読みたい参考書を紹介していきます。
参考書のおすすめ
【レジデントのための これだけ心電図】
◆ 心電図検定3級合格者がおすすめする書籍
心電図検定2級・3級の合格者が最もおすすめするテキストです。無駄を省きながらも重要なポイントとつまずきやすいポイントがしっかり解説されているので、効率的な学習ができ、短期間での合格を目指すことが可能です。心電図検定試験だけではなく、終わってからも長く愛用できる1冊です。
良いレビュー
分かりやすい。
今まで見た本の中で一番分かりやすい。心電図の波形の説明だけでなく、どのように勉強すれば理解しやすく継続できるか勉強のコツも載っているし、その後の治療についてもコメントされているので実践に繋がりやすいしイメージしやすい。お勧めです。とても素晴らしい本だと思います。
Amazonカスタマーレビューより
素晴らしい
心電図の読み方をすっき解説した... これ1冊で心電図が理解出来ました。医学生、研修医は必読の書です。
Amazonカスタマーレビューより
【心電図の読み方パーフェクトマニュアル―理論と波形パターンで徹底トレーニング!】
◆ 心電図の辞書といえばコレ!
心電図の参考書といえば王道の1冊。解説が丁寧なだけではなく、基礎から高度なレベルまで幅広い情報が網羅されている辞書的な参考書です。心電図検定2級の出題範囲が網羅されているため、この本1冊で合格が目指せる安心の参考書です。書籍の大きさがA3サイズとデメリットはありますが、それに勝るほど内容が濃い良書です。
良いレビュー
検定には打ってつけの参考書
中古でしたが特に問題無かったです。公式の心電図検定問題集の内容にかなり即したものとなっています。問題集の解説はかなり簡潔ですが、この本ではそれぞれの波形と病態が丁寧に説明されていてクイズも載っているため非常に参考になります。
Amazonカスタマーレビューより
心電図検定1級は、スマホやタブレットでちょっとしたスキマ時間に勉強できる『心電図サイト』もおすすめです。
おすすめのサイトについてはこちらの記事をご覧ください。
以上、心電図検定1級について解説してきました。
心電図検定1級は、心電図知識の最上級レベルで、合格率も54%前後と2人に1人が合格できる難易度です。
マイスター取得者の中には「学生」の人もいるので、自身の努力次第でいくらでも可能性は広がります。
筆者はマイスターを取りたくて初回から心電図検定1級を受験しました。
残念ながらマイスターにはなれませんでしたが、ぜひこの記事を読んで多くの方が心電図1級にチャレンジしていただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おわり