JHRS認定心電図専門士ってどんな資格なんだろう。試験の内容も詳しく知りたいな。
こんな疑問に答えます。
こんにちは。カエルです。
最近は心電図への関心が高まり、心電図の資格にチャレンジしようかなと思っている人も多いはず。
JHRS認定心電図専門士は、「ある程度知識を持ち、更なるスキルアップを目指す人」や「自身の専門分野を獲得したい人」におすすめな資格です。
特に、心電図検定1級に合格した人であれば、次のステップとして当資格を受験したい人も多いのではないでしょうか。
この記事では、JHRS認定心電図専門士の概要から試験、勉強方法について詳しく解説しています。
「とりあえずどんな資格か知りたい」「今後資格を取りたい」とういう方におすすめな内容です。
それでは、どうぞ。
心電図の資格を持っておいた方がいい理由
資格は「必要」「必要ない」論争がありますが、私はあったほうが良い派です。
その理由は、「転職活動で自分のスキルの証明」が1番ではありますが、日々なんとなくしていた仕事の見方が変わり、楽しくなったりします。それが最終的には「自分の強み」に変わります。
しかし資格をやみくもに取得するのではなく、あくまでも自分が目指す目標・ゴールに必要な資格を選定し取得することが大切です。
その中で「心電図」はどの医療職・どの診療科でも必要とされる知識です。
看護師であれば診療科の移動があったりしますが、どの部署へ移動しても心電図の知識は大いに役立ちますし、心電図に苦手意識を持っている人も多いので頼りにされることも多いでしょう。
「別に資格を取らなくても独学で勉強すればいい」という人もいるかもしれませんが、独学はスケジュール管理に厳しい人でない限り難しいです。
資格というのは試験日が指定されているので、それに向けて強制的に勉強できるのでおすすめです。
JHRS認定心電図専門士とは?
JHRS認定心電図専門士とは、心電図における知識・技能を継続的に勉強し知識を保持していることを証明する認定資格であり、簡単に言えば心電図のスペシャリストです。
JHRSとは「Japanese Heart Rhythm Society:日本不整脈心電学会」のことで、当学会が主催で行っている認定資格です。
試験は年に1回開催され、合格後、資格を維持するためには5年毎の更新が必要です。
JHRSが開催している今人気の心電図検定は「更新不要」であり、「心電の知識は一時的な評価」でしかありません。
しかし、JHRS認定心電図専門士では更新内容の1つとして研修単位が設けられており定期的に情報をブラッシュアップさせることによって知識を衰えさせないしくみとなっています。
受験者数は年々増加しており、定員数も【2021年】450人⇢【2022年】540人へと枠が広がっており、今後人気な資格の1つとなっていくでしょう。
では次に、自身が受験資格に該当するか見ていきましょう。
受験資格
受験するには以下の3つに該当することが必要です。
- 医師、臨床検査技師、看護師、臨床工学技士のいずれかの国家資格を有している
- 心電図業務の実務経験3年以上
申込み時に、施設長もしくは所属長による実務経験の証明書が必要です
- 日本不整脈心電学会の会員(年会費を完納済)
出典:2023年度 JHRS認定心電図専門士 試験要項
✔ よくある質問
学会の年会費ってどのくらいかかるの?
日本不整脈心電学会の会員制度をまとめると以下の通りです。
対象 | 年会費 | 特典 | |
---|---|---|---|
A会員 | すべての認定資格 すべての国家医療資格者 | 12,000円 | 本学会が主催する大会(※1)の抄録集や会誌を配布 |
B会員 | JHRS認定心電図専門士 植込み型心臓不整脈デバイス認定士 医師・研究者を除く国家医療資格者 | 6,000円 | 年次学術大会プログラム抄録集のみ配布 |
C会員 | CDR認定 | 8,000円 | 本学会主催する大会(※1)の抄録集のみ配布 |
※1 本学会が主催する学会
日本不整脈心電学会学術大会、植込みデバイス関連冬季大会、心電関連春季大会
出典:日本不整脈心電学会 入会/登録情報変更 年会費の案内
「医師であればA会員」、「それ以外の職種であればA会員でもB会員でもどちらでもOK」です。
資格取得におすすめな人
では、JHRS認定心電図専門士の資格取得におすすめな人ついてお話します。
- 医師・臨床検査技師・看護師・臨床工学技士で3年以上の実務経験がある人
受験資格であるためこの内容は外せません。
医療従事者の中でも4職種のみに限定されており、3年以上の実務経験が必要です。
- 心電図検定1級または2級に合格した人
同学会が開催している今人気の心電図検定。
心電図検定では心電図の判読のみですが、当試験は心電図の判読以外にも以下の内容が問われます。
- 心臓の解剖生理
- 波形の成り立ち
- 負荷心電図やホルター心電図などの各検査の特徴
- 安全対策 など
よって、JHRS認定心電図専門士は試験範囲が広く、心電図全般の理解力が問われます。
心電図の判読は心電図検定に置き換えると2級レベルなので、心電図検定でレベルを上げてから受験する方が段階的に勉強を進めることができます。
- 循環器科や救急で勤務している人
循環器内科、心臓血管外科、手術室や救急などで勤務する人なら心電図モニターの利用も多く、アラームが鳴ることも多々あります。
緊急な波形をいち早く判断して対応できるかで患者の生命が左右されるため心電図における知識は欠かせません。
心電図の資格を得ることで、自身の専門性をより高められ、周囲と差をつけることができます。
それでは次に、受験する場合の流れについて見ていきましょう。
受検の流れ
受験の流れは以下の通りです。
- 9月~10月 受験申込み
- 11月上旬 受験票の発送
- 11月末 筆記試験
- 1月下旬 合格発表
- 本人への通知および本学会HPに受験番号を掲載
- 本人への通知および本学会HPに受験番号を掲載
- 3月 認定証と認定バッジ発送
出典:日本不整脈心電学会 JHRS認定心電図専門士制度 試験要項
\ 2023年度の詳細情報 /
試験日:2023年11月5日(日)
合格発表日:2024年1月12日(金)
受験費用
受験料は20,700円。
合格時は、認定料(5,000 円)が追加でかかります。
受験会場が東京のため遠方の方は、別途交通費や宿泊費が必要となります。
合格率
では、次に合格率についてお話していきます。
学会のHP上では合格率は掲載されていないので、はっきりとしたことはわかりません。
合否通知はS~Dの5段階評価で判定されます。
2023年における合否判定は、
S:4%
A:17%
B:32%
C:26%
D:21%
出典:2023年度JHRS認定心電図専門士試験(2023年11月5日実施)合格発表
予想するに「合格ラインはB判定以上」で、2023年度の合格率は53%ではないかと思われます。
過去のデータを下に計算すると55〜65%前後であり、合格率は比較的高い傾向にあります。
JHRS認定心電図専門士の試験内容
それでは受験資格や受験の流れ、試験内容など見ていきましょう。
試験の内容
問題数 | 50問 |
解答形式 | マークシート方式 |
試験時間 | 120分 |
出題範囲 | Ⅰ 心電図の判読 Ⅱ 心電図記録装置の取扱い Ⅲ 心電現象の基礎知識 Ⅳ 各種心電図を用いた臨床検査の実施 Ⅴ 認定専門士としてのマナー・品格 詳細は日本不整脈心電学会 JHRS認定心電図専門士の試験範囲をご覧ください |
試験問題はの内訳は「心電図学の基礎知識」と「心電図所見の判読」が半分ずつ出題されます。
なので、心電図所見の判読のみが得意だけでは合格できません。
また、心電図所見の判読も単純な波形は少なく、心電図検定で2級以上レベルの問題が出題されます。
心電図学の基礎を学ぶとともに多くの心電図波形を見て解けるようにしておく必要があります。
試験で【正確に】【速く】解くコツ3選
制限時間内に余裕をもって解ききることはかなり難しくなっていますので、どれだけ正確に速く解くことができるかが高得点の鍵となっています。
そのためこの章では、速く正確に解くためのコツをお話します。
速く正確に解くためのコツ
- 分からない問題があったら悩まず飛ばす
- 知識問題に時間をかけないようにする
それぞれについて詳しく説明します。
分からない問題があったら悩まず飛ばす
分からない問題があったら悩まず飛ばす癖をつけましょう。
とりあえずは1度すべての問題に目を通してみることが大切です。
そして解きやすい問題を素早く解くことで時間を稼いで、悩まなければ解けない問題に余った時間を使うというやり方が確実に点数をとるポイントです。
120分しかない試験時間の中で、分からない問題で悩んでいる時間は基本的にないので、一旦飛ばして後で帰って来る解き方にしていきましょう。
このとき、戻って来る時に「どのページだったっけ?」と手間取らないために、飛ばした問題には、飛ばしたことが分かりやすいように目印をつけておくと良いでしょう。
知識問題に時間をかけないようにする
知識問題においては、事前の知識次第なので「わかる問題」と「分からない問題」は明確です。
「分からない問題」はいくら悩んだところで分からないままですが、「わかる問題」はなるべく時間かけずに解きたいところ。
そのためには、可能な限りの知識を備えておくことは勿論ですが、知識をすぐ引き出せる状態を作っておく必要があります。
そうすることによって、別の問題に時間を割くことができるようになります。
これに関しては後で紹介する参考書・問題集を通して、繰り返し見ながら瞬時に答えが出てくるように特訓しておくと良いでしょう。
勉強方法
では次に、勉強方法についてです。
勉強方法のポイントは、以下の3つを押さえて勉強することが大切です。
合格するためのポイント3つ
- 実力心電図を丸暗記
- 心電図所見の判読強化
- 循環器学会のガイドラインの確認
それでは、詳しく見ていきましょう。
- 実力心電図を丸暗記
参考書はこれ一択です。
◆日本不整脈心電学会の公式の参考書。合格に必須の1冊
実力心電図はJHRS心電図専門士を主催する日本不整脈心電学会が発行する公式本です。試験範囲が網羅されており、この中から出題されるので合格するために必須となる1冊です。 勉強のポイントとして、補足で載っている小さい文字が出題される傾向があるので、全て暗記するつもりで読破することが重要です。
- 心電図所見の判読強化
さきほどもお話した通り、心電図所見の判読は心電図検定の2級以上であり、基本的な波形は少ないです。
やはり、心電図所見の判読を鍛えるには問題集で多くの症例を経験することが大切です。
心電図検定の参考書・問題集は以下の記事で紹介しています。自信がない方はぜひ参考にしてください。
- 循環器学会のガイドラインの確認
これは最後に余裕がある人向けです。
受験者からの情報を聞くと、日本循環器学会のガイドラインから出題されているものもあるそうです。
少しでも多くの情報を入れて試験に挑むためにもチェックしておくとよいでしょう。
更新
では最後に更新について簡単に解説していきます。
当資格は、 5 年毎に更新が必要です。
更新料は5000円で、更新するには以下の要件が必要です。
- 資格取得後、継続して日本不整脈心電学会の会員であること
- 資格取得後の 5 年間に本学会指定の学術大会・研究会・セミナーに出席し、50 単位を取得していること
- ➋の50単位のうち、本学会主催の学術大会、学術研究会等での参加で10単位を取得していること。
教育単位の講習会って?
- 日本不整脈心電学会学術大会
- カテーテルアブレーション委員会公開研究会
- 植込みデバイス関連冬季大会
- 心電学関連大会
- 日本不整脈心電学会地方
研修単位の達成は学術大会の参加につき10単位貰えるので、毎年1回参加することが更新条件の目安となります。
以上、JHRS認定心電図専門士について解説しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おわり