超音波指導検査士ってどんな資格?超音波検査士とどう違うのかな?
こんな疑問に答えます。
こんにちは。超音波検査士を取得しているカエルです。
この記事では、超音波指導検査士の概要から受験内容について解説しています。
超音波指導検査士は、公益社団法人日本超音波医学会が主催する資格で、超音波検査士のさらに上位資格です。
『上司に取るように言われた人』『とりあえず受験内容を確認したい人』に簡単に情報収集できるようにまとめました。
超音波検査士の概要についてはこちらの記事をご覧ください。
それでは、どうぞ。
超音波指導検査士とは
超音波指導検査士とは、超音波の基本特性や超音波診断装置の原理、各領域における臨床など超音波検査に関する専門知識をもち、かつ指導・教育することができることを証明する認定資格制度です。
超音波検査士の試験は、症例提出と筆記試験のみで、実際の手技は含まれていません。
超音波検査の最大のデメリットは、検査者の力量に依存するところで、いくら多くの専門知識を持っていても、描出できなければ全く意味のない検査となってしまいます。
なので、当資格は超音波検査士の試験内容に実技試験を加え、より専門性を高めた資格となっています。
日本超音波医学会HPでは、2022年7月現在、腹部領域の認定者は21名とかなり少ない人数。
Twitterの情報では、2022年の場合受験者8名中3人。受験者数が少なすぎて参考になりませんが、単純に計算して合格率は38%ですね。
超音波指導検査士は超音波検査士受験時の指導者としても関わり、専門医不足を補うためにも、今後注目されていくことが予想されます。
受験領域は、腹部領域・血管領域・体表臓器領域の3つ
2012年に腹部領域が誕生し、2022年に血管領域、2023年に体表臓器が追加されました。
各領域別の具体的な範囲は以下のとおりです。
腹部領域
肝臓、胆道、膵臓、消化管、脾臓、腹膜、腹腔、リンパ節
副腎、後腹膜、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、前立腺、精嚢、陰嚢内容
子宮、卵巣、妊娠期
血管領域
頚部動脈、大動静脈、腎動静脈、末梢動静脈、シャント、リンパ管
体表臓器領域
乳房、甲状腺、唾液腺、リンパ節、皮膚、皮下組織、神経、筋、腱
詳しくは、日本超音波医学会の超音波指導検査士 各領域のガイドラインをご覧ください。
受験資格
受験資格
- 臨床検査技師、診療放射線技師、看護師、准看護師の何れかの免許を有すること
- 13年以上の腹部超音波検査の実務経験を有すること
- 超音波検査士を有すること(※1)
- 日本超音波医学会の定める代議員または超音波指導医1名の推薦があること
- 日本超音波医学会の会員であること
- 認定超音波検査士に認定されてから2回以上更新していること
- 学会発表を1回実施していること(※2)
※1 申請する超音波検査士は、消化器領域、血管領域、体表臓器領域のいずれかに限ります。
※2 認定超音波検査士を取得以降に学会発表を1回、筆頭演者で行うこととされています。
指定学会は、日本超音波医学会学術集会(総会)または本会地方会学術集会で、演題は申請す領域(腹部領域(消化器、泌尿器科、産婦人科領域)・血管領域)が対象となります。
受験の流れ
では、次に受験の流れや試験の内容、受験費用についてお話します。
下記の流れは2023年度の受験情報になります。
- 4月〜6月 1次試験
【書類受付期間】
2023年4月1日(土)~6月24日(土)<当日消印有効> - 9月 2次試験
【試験日】
2023年9月2日(土)3日(日) - 12月 合格発表
試験内容
試験は、一次試験と二次試験の2段階制。
内容を詳しく見てみましょう。
✔ 一次試験
日本超音波医学会HPに掲載されている書式に従って、受験申請書および超音波検査の実績として10症例を添付し指定された住所へ郵送します。
レポート提出内容は以下のとおりです。
レポートの詳細
- 受験者本人が検査した症例
- 疾患コード(※3)に従って10症例提出 (超音波検査所見、主訴・臨床経過などの概要、写真添付、スケッチ)
- 添付する画像は1症例につき消化器領域の場合5枚以内、血管領域の場合6枚以内(白黒、カラー問わない)
※3 疾患コード
【腹部の場合】
疾患コード | 疾患内容内訳 | 症例数 |
---|---|---|
A-1 | 消化器領域(肝臓) | 1症例以上 |
A-2 | 消化器領域(胆道) | 1症例以上 |
A-3 | 消化器領域(膵臓) | 1症例以上 |
A-4 | 消化器領域(消化管) | 1症例以上 |
A-5 | 泌尿器科領域 | 1症例以上 |
A-6 | 産婦人科領域(胎児症例は含まない) | 1症例以上 |
A-7 | その他の腹部領域(脾臓、腹膜、腹腔、後腹膜、腹腔内リンパ節など) | 1症例以上 |
A-8 | カラードプラ検査(または造影超音波検査) | 1症例以上 |
【血管領域の場合】
疾患コード | 疾患内容内訳 | 症例数 |
---|---|---|
G-1 | 頸動脈 | 1症例以上 |
G-2 | 大動脈および分岐動脈(腎動脈は除く) | 1症例以上 |
G-3 | 末梢動脈 | 1症例以上 |
G-4 | 末梢静脈 | 1症例以上 |
G-5 | 腎動脈 | 1症例以上 |
G-6 | その他の血管領域(経頭蓋、鎖骨下動脈、シャント、動静脈瘻など) | 1症例以上 |
G-7 | 外科治療例(血管内治療を含む) | 1症例以上 |
✔ 二次試験
筆記試験と実技試験の2つあります。
【 筆記試験 】
筆記試験は、さらに静止画像と動画像問題の2つ。
各種疾患について最低限求められる医学的知識の確認と、病態を正確に把握し所見を理解しているかなどが問われます。
解答形式 | マークシート方式 |
問題数・試験時間 | 【静止画像の試験】 ・計30問出題 ・試験時間60分 【動画像の試験】 ・計10問出題 ・試験時間50分 |
【 実技試験 】
健常者をモデルに各領域の実技試験を行います。
試験は、課せられた課題について実際の装置と被験者で走査を行い、必要に応じて説明を行い質問にも答える内容となっています。
※腹部領域の場合、実技試験は消化器、泌尿器領域のみで、産婦人科領域は対象外です。
受験費用
合計 30,000円
費用の内訳
審査料:20,000円
認定料:10,000円
以上、超音波指導検査士について解説しました。
まだまだ受験者数も少なく狭き道ですが、これから需要が高まっていく資格の1つです。
今後受験する方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おわり