心電図の資格でも取ろうかな。「心電図専門士」と「心電検査技師」、何が違うの?どっちを受験したらいいんだろう。
こんな疑問に答えます。
こんにちは。臨床検査技師のカエルです。
臨床検査技師の心電図の資格には「心電図専門士」と「心電検査技師」の2つがあります。
どちらも名前は似ていますが、
心電図専門士→日本不整脈心電学会(JHRS)
心電検査技師→日本臨床衛生検査技師会(日臨技)
と主催している団体が異なります。
この記事では、心電図専門士と心電図検査技師の違い、それぞれ受験におすすめな人について解説しています。
結論としては、 JHRS認定心電図専門士の方がおすすめです。
この記事からどちらを受験したら良いか検討していただければ幸いです。
それでは、どうぞ。
心電図専門士と心電検査技師の違い
心電図専門士と心電検査技師は大きく分けて3つの違いがあります。
- 受験資格
- 費用
- 試験内容
では、それぞれ見ていきましょう。
受験資格の違い
JHRS認定心電図専門士と日臨技認定心電検査技師の受験資格は以下のとおりです。
JHRS認定心電図専門士 | 日臨技認定心電検査技師 |
---|---|
医師、看護師、臨床検査技師のいずれかの資格を有する者 | 臨床検査技師の資格を有する者 |
実務経験3年以上 | |
会員入会必須 | |
生涯教育研修の履修修了していいる者 |
どちらも臨床検査技師として3年以上の実務経験、それぞれ主催している団体の会員であることが必須条件です。
日臨技認定心電検査技師の場合はその他に、「生涯教育研修制度の履修修了」が必要となります。
生涯教育研修制度ってなに?履修修了の条件ってどんな内容なの?
簡単に説明すると、検査技師の知識・技術水準の維持・向上するための日臨技独自の研修制度。
履修修了には、研修会またはe-ラーニングを聴講し、以下の研修単位を取得する必要があります。
基礎教科( 60点以上 ) + 専門教科( 140点以上 ) =200 点以上
どちらもオンライン上で聴講可能。
1回につき得られる単位は、研修会は20点、e-ラーニングは2点。
最短の回数で修了するにしても10回の研修会への参加が必要であるため、日臨技認定心電検査技師の方が受験資格を満たすのに時間がかかります。
資格の費用
次は、資格取得・維持にかかる費用の違いについてお話しします。
資格を取得するには、
- 所属団体の年会費納入
- 受験料
さらにどちらの資格も5年毎の更新が必要であり、
- 年会費の継続納入
- 研修会単位取得のための費用
- 更新料 など
資格を持ち続けるには、継続的な費用がかかります。
やはり受験するのに費用面を重視している人も多いはず。
それぞれの費用を以下にまとめたので見ていきましょう。
JHRS認定心電図専門士 | 日臨技認定心電検査技師 | |
---|---|---|
入会費 | なし | 2,000円 |
年会費 | B会員の場合6,000円 | 東京都の場合17,000円 |
受験費用 | 20,700円 | 25,000円 |
更新料 | 5,000円 | 5,000円 |
合計 | 31,700円 | 49,000円 |
受験をする時に必要な費用は、JHRS 約3万円、日臨技 約5万円。
資格取得後の維持費用は、JHRS 約6万円、日臨技 約12~13万。
JHRS認定心電図専門士と日臨技認定心電検査技師とでは費用が2倍近く異なるため、費用面を重視するのであればJHRS認定専門士一択です。
いくら資格を取得しても更新が出来なければ資格を取る意味がありません。
上記の費用がかかることを念頭において受験を検討しましょう。
試験内容の違い
次に試験内容の違いについてです。
試験内容の違いは、
JHRS認定心電図専門士は、心電図の基礎知識や判読力がメインの筆記試験
日臨技認定心電検査技師は、JHRS試験と同様な筆記試験と記録時の技術も兼ね備えた実技試験
があります。
日臨技認定心電検査技師の方が、心電図の基礎知識から記録技術、判読能力まで含まれており、より精度の高い資格と言えます。
「じゃあ、転職時に認定心電検査技師の方が有利なの?」というと面接官が資格の違いをしっかり理解しているわけではないので、どちらでも評価は変わらないかなと思います。
知っておきたい!2つの合格率は?
心電図専門士は80%
心電検査技師は30%(2021年度の場合)
試験の解答方式は、心電図専門士はマークシート形式のみで、心電検査技師はマークシート形式+記述形式となっています。
心電検査技師は2021年度以前は合格率6割程度。2021年から実技試験の内容が筆記試験へと変わったことから、難易度が高くなっています。
各資格のおすすめな人
ここまでJHRS認定心電図専門士と日臨技認定心電検査技師の違いについて解説してきました。
それぞれの違いからおすすめする人はこちら。
JHRS認定心電図専門士
- 費用をなるべく抑えたい人
- 循環器専門の施設に務めている人
- デバイス機器に興味がある人
JHRS認定心電図専門士は、費用が安く抑えられ、資格を維持しやすいのがメリットです。
JHRSは認定心電図専門士の他に、
- 植え込み型心臓不整脈デバイス認定士
- CDR
の資格も運営しています。
循環器専門病院やクリニックに務めている場合は、ペースメーカーやICDなどのデバイス機器の知識も必要となってくるでしょう。
今後受験するのであれば、同じ年会費で複数の資格を維持することができます。
日臨技認定心電検査技師
- 幅広く検査業務を行っている人
- 日臨技が主催する他の資格を取得したい人
- 多岐の分野について学びたい人
日臨技認定心電検査技師は、臨床検査技師における多岐の分野に関する学習システムが充実しているのがメリットです。
日臨技は臨床検査技師の目線に沿った講習会を多く開催しており、検体検査、生理機能検査・病理検査・微生物検査など多岐の分野において基礎から応用まで学ぶことができます。
日臨技は認定心電検査技師の他に、以下の7つの資格を運営しています。
- 認定一般検査技師制度
- 認定臨床染色体遺伝子検査
- 認定病理検査技術制度
- 臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師制度
- 医療技術部門管理資格認定制度/医療管理者認定制度
- 認定認知症領域検査技術制度
- 認定救急検査技術制度
施設によっては、生理機能検査だけではなく、検体系も含め幅広く業務を行っている人も多いでしょう。
そのような場合、生理機能分野だけでなく検体系の資格も取得することができます。
もっと資格内容を詳しく知りたい人は以下のサイトをご覧ください。
まとめ
以上、JHRS認定心電図専門士と日臨技認定心電検査技師の違いについて解説してきました。
資格を受験する際に最も重視することとしては、「費用面」や「資格の取りやすさ」が大きい点から、JHRS認定心電図専門士の方がおすすめです。
資格取得に向けて努力することは、転職時で有利になるだけではなく、将来のキャリアを考えても得られるメリットは大きいです。
病院で心電図検査を行っているけど、
「波形は読むことができない、、、」
「心電図はニガテ、、、」
そのような人も多いと思います。
自分1人ではなかなか勉強を継続することはできませんが、資格試験の勉強であれば、目標や期限が決まっていることで、学習を継続しやすく体系的に知識を学ぶことができます。
さらに、スケジュールを立て計画的に取り組むことで、自己管理能力の向上にも繋がります。
後輩に指導できるようになれば同僚や医師への信頼へと繋がり、それはあなたのモチベーションにもつながってくるでしょう。
ぜひ、第一歩を踏み出すために心電図の資格にチャレンジしませんか?
最後までお読み頂きありがとうございました。
おわり