音波の反射と透過
音響インピーダンス
- 音波は音響インピーダンスの異なる境界面でその一部が反射し、残りが透過する
- 同じであれば反射は起こらず全て透過する
- 式
$Z=ρ×c$
$Z=ρ×c=ρ×\sqrt{\frac{k}{ρ}}=\sqrt{ρ×k}=(ρ×k)^\frac{1}{2}$
$Z=\frac{P}{v}$
Z:音響インピーダンス
ρ:密度 P:音圧(=振幅) v:粒子速度
音圧の反射率(Rp)
音圧の透過率(Tp)
- 式
$Rp=\frac{Z2-Z1}{Z2+Z1} $
$Tp=1-Rp$
反射強度率(Ri)
透過強度率(Ti)
- 式
$Ri=(\frac{Z2-Z1}{Z2+Z1})^2$
$Ti=1-Ri$
ペネトレーション
- 透過率のこと
- 周波数が高いほど減衰が多くなりペネトレーションは低下する
臨界角
- 屈折角が90°になる場合の入射角
全反射
- 入射角が臨界角を超えて大きくなることですべて反射する現象
- 例)結石、石灰化
音圧と強度
- $強度=(振幅)^2$
- 音圧が高い👉粒子速度が高い
音圧が低い👉粒子速度が低い
媒質の音響定数
音速 m/s | 減衰係数 dB/cm | 音響 インピーダンス 10^6 Kg/㎡/s | |
---|---|---|---|
空気 | 330 | 12 | 0.0004 |
血液 | 1570 | 0.2 | 1.62 |
脳 | 1540 | 0.2 | 1.6 |
脂肪 | 1450 | 0.8 | 1.35 |
軟部組織 | 1540 | 1 | - |
腎臓 | 1560 | 0.9 | 1.62 |
頭蓋骨 | 4080 | 13 | 7.8 |
水 | 1480 | 0.002 | 1.52 |
位相
- 位相の反転
Z1<Z2の場合
位相は変化しない
Z1>Z2の場合
位相が1/2λずれ、位相は反転する - 同位相と逆位相
同位相
1λ(2π)ずれるとき
2つの波が重なりあい強め合う
逆位相
1/2λ(π)ずれるとき
2つの波が反転しあい弱めあう
屈折
音速が異なる媒質に入射する際に超音波の進行方向が曲げられる現象
- スネル(Snell)の法則 )
光が平面に入射した際の入射角と屈折角の関係を表した法則
【式】
$\frac{sinθ1}{c1}=\frac{sinθ2}{c2}$
c1>c2の場合👉sinθ1> sinθ2
c1<c2の場合👉sinθ1<sinθ2 - 反射・屈折が起こらない場合
- 音速が等しいとき
- 音響インピーダンスが等しいとき
干渉
個々の波がいくつか重なり合わさることによって合成波を生じる現象
- 同位相・逆位相
前述の「反射 位相」を参照
回折
照射された超音波が物体の影になる部分に回り込んで伝わる現象
散乱
超音波が不規則な境界面あるいは微小反射体に当たって四方八方に広がる現状
レイリー散乱
- 波長より小さなサイズの反射体によるもの
- $D^6f^4$に比例した反射波が戻る
D:反射体の直径 f:周波数
後方散乱
- 音波が散乱して音源方向(プローブ)に戻る成分
スペックルパターン
- 超音波の波長に比べて小さい散乱大群によって生じる散乱波の鑑賞による像
- 生体の構造を反映していない
- 送信電圧を変えても変化しない
- 変化する要因
装置の空間分解能によって変化する- 距離分解能
- 方位分解能
減衰
超音波が生体内に進んでいくうちにその強さが減少する現象
減衰量
- 式
減衰量(dB)=減衰係数×通過距離(cm)×周波数(MHz) - 減衰係数(生体軟部組織):1dB/cm・MHz
デシベル(dB)
- 増幅器の入出力電圧比
- 電圧・音圧の式
$dB値=20\log_{10}\frac{表す量}{基準値}$
電圧 | |
---|---|
20dB | 10倍 |
6dB | 2倍 |
0dB | 1倍 |
-6dB | 1/2倍 |
-20dB | 1/10倍 |
減衰の種類
1.吸収減衰
- 平面波で起こる減衰
- 吸収された超音波のエネルギーは熱に変換される
- 減衰の最大の要因
- 例)筋肉や消化管ガスなど
2.散乱減衰
- 平面波で起こる減衰
3.拡散減衰
- 球面波で起こる減衰
- 距離の2乗に比例して減衰する
周波数依存減衰
- 高周波数ほど減衰する
- 低周波数では中心周波数が低くなる