超音波検査士ってどんな資格かな?資格取得までの流れが知りたいな。
こんな疑問に答えます。
こんにちは。カエル(@Kaeru372022)です。
「超音波検査士」は、臨床検査技師の認定資格の中でも上位にランキングする人気の資格です。
簡単に取得できる資格ではありませんが、今後の良い待遇や条件を求めるにあたり、資格をとりたい人も多いはず。
この記事では、超音波検査士の概要から受験の流れ、試験内容などについて詳しく解説します。
「超音波検査士を受験しようと考えている人」「受験したいけど、周りに受験した人がいない人」におすすめな内容となっています。
記事の信頼性
筆者は、超音波検査士の消化器と体表臓器領域取得。実際の経験を踏まえて解説しています。
それでは、どうぞ!
超音波検査士の概要
超音波検査士とは、日本超音波医学会(日超医)と日本超音波検査学会(日超検)が行っている認定資格です。
超音波検査は、主に病院や健診センターなどの施設で行われ、医師、看護師、臨床検査技師、放射線技師の国家資格があれば誰でも検査することが可能です。
超音波検査は、侵襲性が低く、簡便に行えるというメリットがありますが、その反面、検査者の力量によって結果が左右されることがデメリットです。
超音波検査士では、検査者の力量の証明として超音波検査の基礎原理から各臨床領域における専門知識を有するスペシャリストであることを証明する認定資格制度です。
受験は年1回で1領域のみです。
受験領域は、全7領域。
- 体表臓器
乳腺、甲状腺、副甲状腺、リンパ節 - 消化器
肝臓、胆道、膵臓、消化管 - 泌尿器
腎臓、膀胱、前立腺、陰嚢、外陰部 - 産婦人科
妊娠、子宮、卵巣 - 循環器
心臓、胸部大動脈 - 血管
頸動脈、大動脈、四肢動脈・静脈、腎動脈 - 健診
肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓、腎臓、乳腺、甲状腺、副甲状腺、頸動脈、腹部大動脈
合格率は、約70%となっています。
それでは、内容がわかったところで、次に超音波検査士を取得するメリットを見ていきましょう。
資格取得するメリットとは
「超音波検査士ってどんなメリットがあるの?」そのような方にメリットを3つご紹介します。
資格をとるメリット
- 転職に有利
- 給料UP
- 検査精度の向上
① 転職に有利
今の時代、「職場の環境の悪さ」や「自身の方向性の違い」という理由から、転職が当たり前となっています。
その中で、臨床検査技師の転職サイトの中で最も多いのが「超音波検査」の求人です。
資格がなくても経歴さえあれば転職も可能ですが、求人の中には必須条件として「超音波検査士を取得されている方」と言う内容も多く存在します。
資格さえあれば、応募できる選択肢も広がり、書類選考や面接時に努力アピールやスキルの証明となるため、好印象を与える事ができます。
② 給料UP
仕事をするに当たって、誰もが重要視するのが給料面です。
資格があることで資格手当や昇給しやすいこと、転職時においてもスキルを踏まえて給料UPしやすいことが多いです。
もちろん、すべての施設で必ず給料UPできるわけではありませんが、クリニック等では資格手当が充実している施設も多く、給料UPにつながるでしょう。
③ 検査精度の向上
超音波検査の勉強を始めると臨床の知識が中心で、超音波の基本を理解しないままになっている人も多いです。
超音波検査は、臨床もとても大切ではありますが、超音波の基礎原理を理解してこそ一人前の検査者といえます。
超音波検査士は、超音波の基礎および臨床領域の試験であり、資格を得ることで精度の高い検査とともに医師への信頼にもつがなるでしょう。
それでは、試験の詳細について見ていきましょう。
受験資格
受験するのにまず受験資格に該当するかが重要です。それでは受験資格を見ていきましょう。
超音波検査士 受験資格
- 看護師・准看護師・臨床検査技師・放射線技師のいずれかの資格保有者であること
- 3年以上連続して日本超音波医学会の正会員または準会員、もしくは日本超音波検査学会の正会員であること
※1日でも会員歴が途切れた場合は無効になります。 - 日本超音波医学会が認定する超音波専門医または指導検査士1名からの推薦を得ること
※指導検査士の推薦の場合は、受験領域が消化器、泌尿器、産婦人科領域に限られます。
受験するには学会に所属していないといけないんだ!最短でも3年前から準備が必要だね!
✔ よくある質問 ①
学会の年会費ってどれくらかかるの?
それぞれの年会費は以下のとおりです。
- 日超医 准会員 10,000円
- 日超検 正会員 7,000円
日超医は、年会費の中に英文誌が含まれており、それを辞退すると年会費は7,000円。どちらに入会しても特に差はありません。
当年会費は、資格更新の条件に「学会会員の継続在籍」が必須であるため、資格を持ち続ける限り一生発生する費用となります。
「年会費以外に、日超医と日超検のどんな違いがあるの?」という方は以下の記事をご覧ください。
✔ よくある質問②
今の勤務先に超音波専門医や指導検査士がいない。受験できないの?
現在、超音波専門医は1829名が登録されていますが、日本の病院の数からしたら超音波専門医の資格を持っている医師はごくわずか。超音波指導検査士に関しては数人程度しかいません。
受験したいけど条件が満たせず、受験できない人も多くいます。
その場合、日超医HPの超音波専門医一覧および超音波指導士一覧を参考に近隣に、在籍する指導者を探すのが1つの手段です。
そこから、「現施設の医師を介しての紹介」または「自分で直接電話交渉」して受験した人もいます。
なので、現職に専門医がいなくても受験することも可能です。
受験の流れ
では次に、受験する場合の流れを見ていきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。
- 5月 申し込み
日超医HPから申し込み - 7月 症例提出
- 10月 受験票発送
- 11月 筆記試験
- 翌年2月 合格発表(web通知)
推薦した超音波専門医にも結果が通知されます - 3月下旬 認定証郵送(合格者のみ)
\2023年 受験情報/
第38回超音波検査士認定試験
【オンライン申し込み日】
2023年5月15日(月)12:00~7月7日(金)23:59
【申請書類送付期限】
2023年6月1日(木)~7月31日(月)
<当日消印有効>
【試験日】
2023年11月19日(日)
11:00~14:20
【試験会場】
✔ 東日本会場
パシフィコ横浜ノース
✔ 西日本会場
ナレッジキャピタル
受験費用
日超医会員:計 25,000円
日超検会員:計 27,000円
受験費用の内訳
日超医受験料:20,000円
日超検受験料:22,000円
登録料:5,000円
試験の概要
では次に、試験の内容について詳しく見ていきましょう。
試験は、症例提出と筆記試験の2つあります。
両方とも6割以上を満たすことで合格となります。
症例提出
日超医HPに掲載されている書式に従って受験申請書および超音波検査の実績20症例(健診領域のみ10症例)を添付し指定された住所へ郵送します。
日超医HPで掲載されている1例(体表臓器領域)は以下のとおりです。
症例に記載する内容は、以下の項目です。
- 患者の情報(年齢・性別)
- 検査日
- 超音波所見
- 超音波診断名
- 超音波所見と臨床診断までの流れ
- 最終診断名
- 超音波画像のシェーマ
症例の書き方についてはこちらの記事をご覧ください。
筆記試験
筆記試験は、超音波の基礎と臨床領域の2つあります。
✔ 試験の詳細
出題形式 | マークシート形式 |
解答形式 | 【A タイプ】5つの選択肢(a~e)から該当する1つを選ぶもの 【X2タイプ】5つの選択肢(a~e)から該当する2つを選ぶもの |
問題数 | 35問 |
試験時間 | 【医用工学の基礎】70分 【臨床領域】70分 |
試験当日の流れや過ごし方についてはこちらの記事をご覧ください。
各領域における詳細は以下のサイトに詳しく解説してます。受験する領域を確認してみましょう。
2つ以上の領域を取得したい方必見!
2つ以上の領域を取得したい人は2年連続で受験することをおすすめします。
その理由は、
受験した年が合格した場合、翌年度の超音波の基礎試験が免除になるからです。
受験領域は基本的には、自分が得意な方を最初に、不得意な方を翌年度とすると翌年度では臨床領域のみに集中することが出来るので効率的です。
泌尿器領域を受験する場合、他の領域に比べ臨床試験が易しいので、超音波基礎とセットでの受験がおすすめです。
2領域の超音波検査士を受験するなら、2年連続で受験できるように準備してから受験しよう!
勉強時間
試験は症例提出と筆記試験があり、それぞれの所要時間について解説します。
事前に流れがわかると効率的に動くことができます。
筆者の経験を踏まえて、さらに効率的な勉強につながるよう参考にしていただけたら幸いです。
それでは、症例提出からお話していきます。
症例提出の勉強時間
症例を書く流れは以下の通りです。
症例を探す
(事前に準備しておけば短縮可能)
↓
症例を書く
↓
超音波専門医のチェック
↓↑
修正
↓
提出
私は3月頃から症例を探し始め、4月から症例を書き始めました。
私の場合は、超音波専門医は常勤ではないため1週間に1回のチェックを行い、7月前半で全症例を終えました。
レポート1枚書くにあたり約1時間くらい。症例の情報収集や専門医のチェック、修正で全体で50時間くらいかなと思います。
筆記試験の勉強時間
筆記試験の勉強は症例提出が終わったあと、 8月から基礎と臨床領域を1週間ごとに交互に勉強していました。
私の勉強方法については別の記事でまとめているのでこちらをご覧下さい。
平均勉強時間は平日1~2時間、休日3~4時間くらい勉強していました。
総合すると、基礎 200時間+臨床200時間の400時間くらいと思います。
人それぞれ勉強時間は異なりますので、ご参考までに。
更新
では、最後に更新についてお話しします。
資格更新は、5年毎に必要です。
更新の条件は以下の通りです。
資格更新対象者
- 超音波検査士の更新対象者
- 看護師、准看護師、臨床検査技師、放射線技師の国家資格を有するもの
- 公益社団法人 日本超音波医学会または検査学会の会員である
- 指定された研修・業績単位を取得している
- 必修講習を1回受講している
更新時における詳しい内容は以下の記事をご覧ください。
以上、超音波検査士について解説しました。
最後に超音波検査士を受験しようか迷っている人へアドバイス。
超音波検査は求人数も多く、転職しやすい業種の1つです。
その中で20代では学歴や人柄で判断されるポテンシャルが中心ですが、30代以降となるとキャリアの実績がより重視されます。
キャリアの実績の証明として誰にでもわかりやすいのが「資格」です。
転職先に「資格のある人」「資格にない人」同時に応募があった場合、だいたいは前者を選ぶのが現実です。
超音波検査士の資格を手に入れることは簡単な道のりではありませんが、今後の臨床検査技師の人生の中で優位な立場になるためにも1年努力して受験してみませんか?
最後までお読み頂きありがとうございました。
おわり